AutoHotkeyを使った業務自動化を始める際、最初に覚えておくべき基本パターンがあります。今回は実際の現場でよく使われる3つのパターンを、実用的な例とともに紹介します。

1. ホットキーでよく使う操作を瞬時に実行

最も基本的で効果の高いパターンです。毎日何度も繰り返す操作をキーボードショートカットで一発実行できるようにします。

; Ctrl+Shift+D で現在の日時を入力
^+d::
    FormatTime, CurrentDateTime,, yyyy/MM/dd HH:mm
    SendRaw, %CurrentDateTime%
return

; Ctrl+Shift+E でよく使うメールテンプレを入力
^+e::
    SendRaw, いつもお世話になっております。%A_Space%
    SendRaw, 坂本です。%A_Space%
    SendRaw, %A_Space%
    SendRaw, ご確認のほど、よろしくお願いいたします。
return

ポイント:

  • SendRawを使うことで、特殊文字も安全に送信できる
  • %A_Space%で改行を表現
  • 業務でよく使う定型文を登録しておく

2. ウィンドウ判定で確実な画面操作

画面操作を行う際は、必ず対象のウィンドウが存在するかチェックしてから実行します。これが「落ちない設計」の基本です。

; Excelで特定の作業を自動化
F2::
    ; Excelウィンドウの存在確認
    WinWait, ahk_class XLMAIN,, 5
    if ErrorLevel {
        MsgBox, Excel が見つかりません
        return
    }
    
    ; ウィンドウをアクティブにして操作実行
    WinActivate, ahk_class XLMAIN
    WinWaitActive, ahk_class XLMAIN,, 3
    
    ; セルA1に移動
    Send, ^{Home}
    Sleep, 300
    
    ; 現在日時を入力
    FormatTime, Today,, yyyy/MM/dd
    SendRaw, %Today%
    
    MsgBox, 処理完了しました
return

ポイント:

  • WinWaitでウィンドウの存在確認
  • ErrorLevelでエラーハンドリング
  • Sleepで処理の安定性を確保

3. ファイル操作での日次・月次業務の自動化

ファイルの移動、リネーム、CSV処理など、定期的なファイル操作を自動化します。

; F3キーで月次ファイル整理を実行
F3::
    ; 作業フォルダの設定
    SourceFolder := "C:\作業フォルダ\受信"
    ArchiveFolder := "C:\作業フォルダ\アーカイブ"
    
    ; アーカイブフォルダの存在確認・作成
    FileCreateDir, %ArchiveFolder%
    
    ; 前月のフォルダを作成
    FormatTime, LastMonth,, yyyy-MM, -30
    MonthFolder := ArchiveFolder . "\" . LastMonth
    FileCreateDir, %MonthFolder%
    
    ; .xlsxファイルを移動
    FileCount := 0
    Loop, %SourceFolder%\*.xlsx {
        FileMove, %A_LoopFileFullPath%, %MonthFolder%\
        if !ErrorLevel
            FileCount++
    }
    
    MsgBox, %FileCount% 件のファイルを移動しました
return

ポイント:

  • FileCreateDirでフォルダを事前作成
  • Loop, Filesでファイル一括処理
  • ErrorLevelでエラーチェック

まとめ:現場で使える設計のコツ

これらのパターンに共通する「現場で使える設計のコツ」は以下の通りです:

  1. エラーハンドリングを最初から組み込む
  2. 適切な待機時間(Sleep)を設ける
  3. 処理結果をユーザーに伝える(MsgBox等)
  4. ファイルパスは変数で管理

次回は、これらの基本パターンを組み合わせて、より複雑な業務フローを自動化する方法を解説します。


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